1. 研究の分類

唐突ですが「研究」とはなんでしょうか?研究という言葉は、身近にありながら、一般の人達にとって、非常に縁遠く感じる言葉です。研究は研究者が知りたいと思う現象の実態を明らかにするための手段の全てを指します。ここでいう研究者は単に大学や企業で研究を専門に職としているプロ研究者のみを指すものではありません。何かを知りたいと思ったその瞬間から、誰もが研究者になれるのです。

研究は理論構築やモデル構築を目指す「理論」研究と、ある現象から知識を得る「実証」研究に分けることができます。さらに、それぞれの研究は帰納的、演繹的なアプローチ方法に分類することが可能です。

理論研究においては、先行研究や現象などを調査・検証し、その論理的事実より仮説を構築していく「仮説構築型」と、存在する仮説の真偽に関して多面的に検証し、仮説の信頼性や例外を検証し、理論構築を補完する「仮説検証型」に分類することが出来ます。

一方、実証研究においては、理論が確立されていないなか、文献レビューやインタビュー,アンケートなどを行い、研究対象の実態を明らかにする「実態解明型」と、研究対象が先行研究などで明らかになっているなか、その他の例外がないかなどを検証する「実態検証型」に分類することが出来ます。

2. 研究に不可欠な「未知性」

前段で、研究は4つの型、「仮説構築型」「仮説検証型」「実態解明型」「実態検証型」に大別できるとお話しいたしました。このように並べると難しく感じますが、簡単にいうと研究を行うにあたり、あなたが何を知りたいのかということ。つまり、知りたい現象を構築する仕組みを知りたいのか、それとも現象そのものを確認したいのか。そしてその方法は、既にある仮説を元にして検証するのか、それとも検証していくなかで結論を導きだすのか。これら二つの目標と方法を組み合わせているにすぎません。

研究者には誰でもなれる、そして、研究というものは4つの形に分類されるとお話ししました。しかし、研究を行う上で、最も基礎となり重要であることをお話ししていません。それは、何だと思いますか?

それは、あなたにとって未知性があるか否かです。研究というものはあなたが知らないことを知るために行うものです。既に知っているものを並べ、知識を披露することは研究ではありません。単なる作文であり、執筆活動を行っているにすぎません。この未知性が誰にとって未知なのかということが広がれば広がるほど、研究結果に社会的価値が見出されるのです。

MBAで卒業論文を書くためには、自分が研究したいと思う事柄について、徹底的に先行研究がないかどうかを調査することから始めます。なぜなら、それは個人や学士卒業論文よりも、もっと広い範囲での未知性が要求されるからです。それは、自分が考える学術分野だけに収まりません。例えば、社会科学系の分野の研究だから、その分野内だけを対象とすれば十分であるというわけではありません。自然科学や行動心理学などいろいろな分野に視野を広げて、自分が研究しようとしている事柄について、関連性のある先行研究を調査することが必要です。

3. 恐れることなくMBA取得のための一歩を!

前段にてMBA取得のためには、あらゆる分野の先行研究の調査が必要と書きました。人によっては、「そんなことは私にはできない。」「ほど遠い。」「不可能だ。」と感じられた方も多いのではないでしょうか?しかし、恐れることはありません。一番重要なのは、研究にとって未知性は重要であり、それはあらゆる分野を超えた未知性であるということを知り、それを現在の自分の力で可能な限り明らかにするために最大限の努力を行なうことです。MBAの学習期間は社会的価値を持つ研究を行う研究者になるための、いわば研修生期間のようなものです。研修生にとって重要なのは、恐れず進む勇気と、不可能だと投げ出さずにすがりつく粘りと、そしていろんな知識や人々と関わろうとする好奇心です。

これらは各個人で得意不得意はあると思いますが、少なくともMBAを取得しようと決断した瞬間からあなたは昨日のあなたよりレベルアップしています。恐れることなく最初の一歩を踏み出しましょう。

後半はこちら
『MBAにおける研究とは』(下)

文:加藤 浩樹/Hiroki KATO
Anglia Ruskin University MBA
一般社団法人MBA推進協議会 理事
プロフィール: 専門分野:半導体・液晶製造装置のエンジニアを経て、営業に転身。営業の枠組みを超え、製品企画やアライアンンスにより、シナジーを生み出し、新事業を立ち上げることにより、複数の企業で実績を残す。企業変革や企業再生の分野にも着手し、成果を上げている。